原田マハおすすめ作品ランキングTOP7

entry

原田マハおすすめ作品ランキングTOP7

言葉での表現が綺麗で、風景や人物の描写が美しいからです。また小説の登場人物というのは必ず悪役が登場しますが、原田さんの作品に出てくる悪役はどこか憎めないというか、クスッと笑えてしまう人たちばかりで楽しく読むことができます。原田マハさんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.原田マハ「カフーを待ちわびて」

原田マハ「カフーを待ちわびて」がおすすめの理由

デビュー作にして今や珍しい原田さんの恋愛小説。主人公の男の子・アキオは少し頼りないけど、そこがまた可愛くて、ヒロインであるサチの芯の強い部分と上手くマッチングしています。決して派手なお話ではなくなんとなくファンタジーな面もある恋愛小説で、その字面だけ見ると苦手意識を持つ方もいると思います。しかし悩みや葛藤と日々戦うのはどこの世界の人間も同じだと気付かせてくれます。今作品の舞台は沖縄ですが、本を開いて文字を追っているとまるで沖縄で読んでいるかのようなゆったりとした時間の流れが現実世界の自分にも流れている気がして不思議な気持ちになります。これが私たちの持つ沖縄のイメージや沖縄に抱く感情のおかげではなく、筆者の持つ不思議な、そして圧倒的な描写のおかげでもあることは、読み始めてすぐに気付くと思います。

 

 

第6位.原田マハ「シヴェルニーの食卓」

原田マハ「シヴェルニーの食卓」がおすすめの理由

この作品に登場するモネ、マティス、ドガ、セザンヌ、4人の印象派の画家たちを普通の人は4人全員を知っていることはないと思うし、ましてや彼らに描かれた絵を思い浮かべることは難しいと思います。そんな彼らのフィクション短編集。実際の人物がいる中でのフィクションなので、本来であればあまり真に受けてしまうと人物像を歪めてしまう恐れもあります。しかし、この作品ではその心配がまるでないように私は感じました。むしろ、この作品で彼らのことを学べると言っても過言ではないと思います。彼らを支えた女性目線から、とにかく繊細にそして優しく描かれていてこんな温かで美しい世界が世の中には存在するのだと溜息をつきたくなります。そして読み終わる頃には、この4人の画家たちのことも、原田さんのことももっと知りたいと思っているはずです。

 

 

第5位.原田マハ「キネマの神様」

原田マハ「キネマの神様」がおすすめの理由

今やめっきり見かけなくなってしまった名画座ですが、もちろんそれらを大切にしている人たちはまだまだ世の中にたくさんいると思います。そんな人たちが小さなキッカケで名画座を、映画に携わる人々を救っていく奇跡のつまったあたたかい作品です。原田さんの作品には絵画を題材にしたものが多いので、分からない、詳しくない、とっつきにくいなと思う方に「それなら映画ならどうですか」と薦めたい一冊です。映画館のあの言葉にできない独特の空気やにおい、雰囲気を目で読んで肌で感じられます。映画から遠のいている私みたいな人には、なんで私は最近映画館に行っていなかったんだろう…!と思わず後悔させれくれるような仕掛けが組み込まれています(笑)。またそんな映画界の現状だけでなく、家族の在り方、人の繋がりについても考えられて、一石二鳥な本だと私自身は感じました。

 

 

第4位.原田マハ「楽園のカンヴァス」

原田マハ「楽園のカンヴァス」がおすすめの理由

ちょっと珍しいアートとミステリーの融合作品。アンリ・ルソーという美術家も、彼の描いた作品「楽園のカンヴァス」を知らない人も少なくないと思いますがそれでも十分楽しめる物語になっています。ミステリーとしてのプロットもしっかりとしていて、それでいてアートについても学び、感じることが出来ます。私自身この作品が初めてのアート小説だったのですが、アートとミステリーが一緒に楽しめるの?と半信半疑で手に取ったことを後悔するくらい中身の詰まった素敵な作品です。もし、どちらかの要素が苦手であってもどちらかが補って読む手を止めさせない仕組みになっていて素晴らしいと感じました。またアートに限らず、好きなものを愛することを貫くということがいかに強く素敵なことなのか考えさせてくれます。とにもかくにもミステリーが好きな人にもアートが好きな人にも双方におすすめしたい一冊です。

 

 

第3位.原田マハ「暗幕のゲルニカ」

原田マハ「暗幕のゲルニカ」がおすすめの理由

アートに詳しくない人でも名前くらいは知っているピカソの作品にまつわる小説なのですが、アートと社会問題が絶妙に絡み合った知的な雰囲気と作者のアートとピカソに対する愛を感じることができます。過去と現在の物語が交互に繰り広げられ、登場人物を把握し読み慣れるまでに少し時間がかかりますが、引き込まれれば一気に読み切れます。こんな言い方ではいけないとは思いますが、「たった一枚の絵」だけで読者が飽きずに読める長編を書ききる。これをやってみせた原田さんの筆力がよく分かる一冊です。もはや歴史上の人物になりつつあるピカソと、同じく歴史上の出来事となる1930年代のスペインの内戦。どこまでが史実か判断のつきにくいほど出来上がったディテールに感服間違いなしです。アートの持つ人に「想像」させるチカラ、メッセージ性と平和を祈る登場人物たちに、読者は必ず胸を打たれると思います。

 

 

第2位.原田マハ「本日は、お日柄もよく」

原田マハ「本日は、お日柄もよく」がおすすめの理由

作者の作品リストの中にいくつかあるお仕事小説の中で一番のおすすめです。原田さんの描く女の子の多くが温かかで優しい、それでいて芯のある人柄を持っているのですが、まさにその象徴と言える女の子がこの作品に登場する主人公・こと葉です。ひたむきに仕事を頑張る姿、スピーチという誰もが経験したことのある舞台への挑戦。仕事に対する姿勢だけでなく、スピーチや演説の知識を学ぶことができて随所に散りばめられているドタバタコメディチックな表現に時々クスッと笑えます。こと葉につられて、読者も明るい気持ちになれると私は読んでいて感じました。近々、仕事や結婚式などでスピーチの予定がある人はハウツー本を読むのも大切ですが、言葉の持つ力を今一度考えて、スピーチの文章を考えるためにもぜひこの本も一度手に取って欲しいなと思います。

 

 

第1位.原田マハ「たゆたえとも沈まず」

原田マハ「たゆたえとも沈まず」がおすすめの理由

元キュレーターの原田さんの作品の中で多く描かれているアート小説の中で最も切なく、そして個人的に最も美しいと思う小説です。原田さんの数多くのアート小説でその美しい絵画の魅力は幾度も表現されてきましたが、この小説の舞台になっている「花の都・パリ」という街を文字だけでこれほどまでに優雅に芸術的に表現している本は他にないと言っても過言ではないと思います。パリに行ったことのある人も、ない人も、パリが好きだという気持ちが少しでもあれば是非手にとって欲しい作品です。パリだけでなく描かれている人たちもパリらしく、と言っていいのか分かりませんがふんわりと温かい目で見守りたくなるような登場人物ばかりでみんなに幸せになってほしいなと願わずにはいられません。そして最後まで読み切った後に、表紙のゴッホ作「星月夜」を一度見直してみて欲しいです。

 

 

コメント