角田光代おすすめ作品ランキングTOP7
誰にでもわかる平易な言葉でありながら、人の本質を捉えた普遍的なことを言い表すことができる才能が魅力です。エッセイなどは共感したり、ほっこりしまうものが多く、一方小説では、人の内面をえぐるような陰の部分を描いており、ユーモアがありおっとりした側面とその一方で鋭敏な感覚と彼女独特な感性を持っていおり、何らかの刺激や気づきを与えてくれます。角田光代さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.角田光代「愛してるなんていうわけないだろ」
角田光代「愛してるなんていうわけないだろ」がおすすめの理由
角田光代初エッセイ集。作者20代前半の作品。若き頃の角田さんの日常のを垣間見ることができ初々しく、瑞々しい。友だちとおしゃべりしてるような感覚で時間を忘れ楽しく読むことができます。「夜半に恋人に会いたくなる。会いたい気持ちがどんどん心の中で膨らんで恋人のもとへとタクシーをぶっ飛す」そんな作者の恋愛観は、10代20代の女性であれば自分の姿鏡で見るようなそんな共感できる言葉をたくさん見つけることができる作品だと思います。もう少し大人の女性であれば青春という一瞬の輝きや、穏やかに流れていった時間、過去の自分を愛おしく感じながら読めることでしょう。作者が若い時に書いたものだからといって侮ることはできない。「小さきものに幸せは宿る」の中では「一番好きになってもらえれば、とても大きな幸せである。だけどそれだけを狙って、きらきら光るくずを流してしまうのは、あまりにも勿体無く、自分で自分を不幸にしているようなものだ。心の網を細かくして、そういうものを掬いとっていかねば。」と聖書にも通ずる普遍的な幸福になるためのレシピを見つけることもできる。
第6位.角田光代「しあわせの値段」
角田光代「しあわせの値段」がおすすめの理由
お金を通して人生について考える。時間は流れ必然的に消費されていくが、お金の消費には自分の意志が関係している。それ故にその人を表し、それによって得たものによって自分を形作っゆくものである。こういう新たな視点で物事を考える角田さんの独特な感性や価値観を知ることができ楽しくも興味深い作品。自分のお金の使い方について考えてみるきっかけになりました。他者からみたら無駄つかいと思われることや、いっけんするとしょーもない使い方をしてしまったなぁと思うようなことも、今の自分を作っているという作者の考えによって救われる思いがする。お金で買えるものもたくさんありますが少ないとしても決して買えない大切なものもあるなと、なんだか思いがけずに、はっとします。お金の使い方を通し角田さんの人柄を知ることができたり、自分の内面について考えることができました。
第5位.角田光代「だれかのことを強く思ってみたかった」
角田光代「だれかのことを強く思ってみたかった」がおすすめの理由
佐内正史という写真家とのコラボ作品。角田光代の短編集。佐内正史が切り取る東京の風景は、いわゆる観光名所のようなものではなく誰もがどこかでみたことがあるようなものばかり。それなのになぜか懐かしく、やさしく、切ない。角田の文章も東京を舞台にそこにいる普通の人の何気ない日常や気持ちの揺らぎを詩のような言葉で綴っており、どことなく寂しさを漂わせている。ショートストリーなので通勤、通学の際にもさらっと読むことができ、ページをめくるたび東京の空気感を味うことができる。とくに好きなのは、「見なかった記憶」何かを見たという記憶よも見なかった記憶の方が、色濃く心にのこっている、ということがある。手に入れたものより、どうしても手に入らなかったもの。そういもので自分がなりたっており、それらは永遠の記憶として心に刻まれている。作者の鋭い視線によって紡がれた、はっとさせられるような言葉に触れることができる。気待ちが重くなりすぎず、何となく癒されフラットな気持ちになれる本です。
第4位.角田光代「これからは歩くのだ」
角田光代「これからは歩くのだ」がおすすめの理由
角田さんの素朴でのびやかな魅力がたっぷりと味わえるエッセイ。角田さんの小説は、どちらかというと重く、暗い、人間の陰の部分を描いているものが多いのですが、一方でエッセイでは、明るく破天荒で、少しどじで可愛い角田さんの魅力がいっぱいに詰まっています。つまり、ギャップ萌えの魅力があんです。角田さんは、小説とエッセイという二つの顔を持っており、この作品は明るい方の角田さんを象徴するような作品です。「十数年後のケンビシ」では、勘違いをネタにしたお話で爆笑!多くの人が共感でき、作者に親近感を抱く。誰もが経験したことがあるようなまだ言葉にできていなかったことを端的に言いあらわせる角田さんならではの感性で描かれてユーモアたっぷりの素敵な作者です。疲れている時に気軽な気持ちで読むことができる楽しい作品です。作者の人柄を知ることができ好きになりました。
第3位.角田光代「愛がなんだ」
角田光代「愛がなんだ」がおすすめの理由
テルコという28歳の女性の全力片思い恋愛小説。マモちゃんに呼び出されれば会社の残業はせずに真っ先に駆けつける。テルコはマモちゃんに片思いをして何よりも恋を優先します。 ダメ女っぷりが描かれておりハラハラしながら読むことができます。やがてある意味一途で純粋なテルコを憎めなくなります。恋愛を優先し、みっともないことも平気なってしまうテルコを軽蔑することができないのは、自分の中にもそういうところがあったかもしれないと気づかされるからかもしれません。過去の自分と重ね合わせ甘酸っぱい、少し恥ずかしい気持ちになります。作品を通して自分が忘れていた、あるいはみないようにしていた内面に光があてられる。瑞々しくも痛々しい、恋愛のすべてが詰まっている小説です。最近映画化もされたようで原作と見比べるのも楽しみの一つです。
第2位.角田光代「対岸の彼女」
角田光代「対岸の彼女」がおすすめの理由
第32回直木賞受賞作品。女性同士の絆、友情を描いた珠玉の傑作。ベンチャー企業の社長で独身の葵、主婦でその部下になった小夜子。対照的な二人の女性。異なる境遇を比べてどちらが幸せな人生なのか?親密になったかと思えば何かの事で距離をとって見たり。女性ならではの心理描写が緻密に綴られている。きっと多くの女性が感じてはいるものの言葉にしにくいかったことをこれほど端的に言いあらわせる人はいないのではないかと思う。作者自身が女性であるからだけでなく物事の本質を見抜く鋭敏な感覚をもちあわせているからに違いない。女性なら誰しもが共感できる作品なのだと思う。ちょっと人間関係に疲れた時に読むと救われる言葉に出会うこともできるはず。男性には理解しにくいところもあるかもしれませんが女性の心を知るうえでは助けとなる作品だと思います。
第1位.角田光代「八日目の蝉」
角田光代「八日目の蝉」がおすすめの理由
優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。映画化された本作のキャッチコピーだ。野々宮希和子は、愛人の赤ちゃんを衝動的に誘拐してしまう。希和子は赤ん坊を薫と名付け逃亡生活をはじめる。希和子は、愛情を注ぎ育てる。ほんとうの親子とは血縁関係なのか、それとも愛なのか、そうした親子の絆についてとても考えさせられる作品。いつか壊れてしまうかもしれない関係の中でほんとうの子供のように愛を注ぐ希和子、犯罪者ではあるが理性を揺るがす普遍の愛が切なくて悲しい。角田さんの小説は人の闇の部分が丁寧に描がかれておりそれぞれの登場人物の心理描写が秀逸で物語へと引き込まれていく。前編は希和子の視点。後編は子供の視点で書かれており、こうした作者のアイデアや構成力は物語の奥行きのあるものにしている。作品の映画化やドラマも扱われいる作者渾身の一作。
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