宮部みゆきおすすめ作品ランキングTOP7
数多くの作品を世に出し、多くの映画やドラマやアニメにもなっています。ジャンルも多彩で、ミステリ、ファンタジー、時代劇と幅広いです。に長編が多いですが入り込むとあっという間に読み終えてしまうので、寝不足に注意が必要かもしれません。宮部みゆきさんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.宮部みゆき「ICO-霧の城-」
宮部みゆき「ICO-霧の城-」がおすすめの理由
原作は同名のゲームです。ゲーム好きだという宮部みゆきさんの手により、ゲームでは語られなかったもう1つの物語が小説で蘇ります。正直、前半は少し間が余るような気がしますが、後半は一気に盛り上がる作品です。イコは、トクサ村で角の生えた子供として誕生します。角の生えた子供は霧の城に生贄(ニエと呼ばれる)として差し出される運命でした。幼い頃からそうして育てられたイコはついにその日を迎え、石棺に入れられた状態で霧の城へと向かいますが特殊な文様を織り込んだ服を着ていたおかげで石棺から脱出することに成功します。そして、霧の城で鳥籠に囚われたヨルダという少女に出会います。このヨルダという少女は霧の城の女王の娘です。ヨルダは過去にイコと同じように角をもつオズマと出会い、2人で抜け出そうとしたことがありました。結果はヨルダに迷いがあった為、失敗に終わり、鳥籠の中に囚われることになったのです。ヨルダとイコは2人で手を繋ぎ、女王を倒す為に進みます。けれど、ニエがなぜ必要になったのか、その理由を宮部さん流に落とし込んだ部分には驚きました。ニエは人間が生み出した習慣だったのです。イコは女王と対決し、ついに城を脱出します。ゲームをプレイした人ならここがどんなシーンであるかわかり、胸が熱くなるんじゃないかと思いました。
第6位.宮部みゆき「ブレイブストーリー」
宮部みゆき「ブレイブストーリー」がおすすめの理由
宮部みゆきさんのファンタジー系作品で一番の有名な作品だと思います。どこにでもいるような少年・ワタルが幻界(ヴィジョン)を旅し、成長していく物語です。ワタルは突然出て行った父とそれにより壊れていく母を前にすることになってしまいます…。幻界には運命の塔というものがあり、そこにいる女神さまにお願いすると願いが叶うと聞いたワタル。ワタルは「また親子仲良くくらしたい」という願いを叶えるために幻界にいくことを決めます。そこでは数々の冒険や苦難が待ち受けていました。そのストーリーはまるでRPGのようですけ。そして、勇者の剣を手に入れます。この勇者の剣はワタルとともに成長するもので、手に入れたばかりの頃は小さな古びた剣に過ぎません。ワタルは少しづつ少しづつ勇気(ブレイブ)を出せるように成長し、ついに最後の対決を迎えます。最後の相手はなんとワタル自身の持つ憎しみの感情でした。ワタルにとって、この感情は悪であり、認められない相手でした。でも、この感情も含め自分であることを最後は受け入れます。まだ10歳、だけど10歳。自分の核のようなものが芽生えるこの歳だからこその最後の敵であったように感じました。でもワタルは最初から小さな勇気は持っていたし、何より優しさを持っている少年です。女神さまにするお願いを変えてしまうのでした。「幻界に平和を」と…。自分の願いは大きく成長した自分自身で叶えることができるだろう、そう思わせてくれるほどの成長だったと思います。
第5位.宮部みゆき「楽園」
宮部みゆき「楽園」がおすすめの理由
模倣犯の主人公である前畑滋子シリーズです。あの事件からしばらくたち、滋子はライターとして生活を続けています。そんな滋子にある依頼が舞い込みます。それは、12歳で亡くした息子・等に超能力があったのかを証明してほしいということでした。依頼者である萩谷敏子から、渡された等のスケッチブックにはあの山荘(模倣犯で犯人たちが女性を埋めていた場所)の絵も含まれていました。その絵には犯人か近しい人しか知りえないビンも描かれており、滋子は依頼を受けることを決めます。等の絵には、等が実際には見ていない真実が描かれていると考えられました。そして、ある絵が本作の事件の核となっていきます。それは、風見鶏の家の絵です。土井崎家の屋根にある風見鶏の絵と思われ、その絵の床下には人が寝かされています…。これは土井崎家の長女でした。長女が殺されて床下にいる理由は、たくさんの悲劇の上にありました。次女を守りたかった両親、救いようのない長女自身の罪…。どこの家族の中でも起こるうるような出来事から発展してしまった事件であると言えるでしょう。だこらこそ、とても切なく悲しい気持ちになる事件でした。等は、事故死してしまうのですが、滋子は自殺だと感じています。その能力ゆえにこんな風景ばかり脳裏に浮かぶ苦痛を思うと、12歳の少年の心は耐えられなかったのではないか?と考えたのです。タイトルの楽園とは真逆のこの世界、どうか少しでも楽園に近付いて欲しいと願ってしまいました。なお、本作は山荘など模倣犯と関わりのあるワードが出てくるものの、中身としては別物とするべき作品となり、模倣犯を読んでいなくても楽しめる作品になっています。
第4位.宮部みゆき「レベル7」
宮部みゆき「レベル7」がおすすめの理由
とても分厚い本ですが、結構一気に読めました。ただ序盤は少し我慢が必要かもしれません。物語は記憶を失った男女・と行方不明になった女子高生・みさおを探すカウンセラー・悦子、それぞれの視点で描かれていきます。男女の手にはレベル7の文字。レベル7まで行くと戻れない、という言葉が妙に気になる展開です。レベル7とはなんなのか?2つの視点が交錯する終盤は本が置けなくなってしまうような展開が続くので要注意です。それにしても、病院院長は救いがなく、なんかもう少しそこに至るまでに人間として理由が欲しかったです…。事のきっかけとなった殺人事件の2組の被害者夫婦の子供がそれぞれ記憶を失った男女の正体でした。レベル7とは院長が作り出した薬の強さのことで、7は最高の強度があります。この薬のせいで記憶さえも失っていたのでした。2人は記憶を取り戻し、お互いが恋人同士であることも思い出します。最終的に2人がハッピーエンドとなったことは救いだと感じました。読後感はよく、しっかりまとめられた大作だと思います。
第3位.宮部みゆき「名もなき毒」
宮部みゆき「名もなき毒」がおすすめの理由
杉村三郎シリーズ2作目です。流れるように読むことができました。登場人物は前作の「誰か」とつながる人も多いですが、この作品を単発で読んでもきちんと入り込める作りになっています。主人公である三郎は妻の菜穂子の父が今多コンツェルンの会長であることから、逆玉の輿状態の結婚生活を送っています。そこに違和感は感じるものの、菜穂子と娘の為に、押し殺して働いています。そんなある日、三郎の職場に原田いずみというアルバイトがやってくることになりました。このいずみがは、生粋の嘘つきである上にヒステリー持ちという大変な性格の持ち主でした。職場でトラブルばかり起こすいずみはついにクビになってしまいます。しかし、激しい性格の彼女は納得せず、訴えると騒ぎ出します。矛先は傍目には幸せを享受している三郎に向くことになります…。いずみの経歴を調べるうちに、殺人事件に絡んだりもするんですが、個人的にはこの作品の核は誰しもが人間である以上、いずみのような名もなき毒(感情)を持っているものであるということ。それが時には死をも持たらす可能性があるということ。三郎にとっては菜穂子ですら毒になる時もあるのですから。そういう視点で読むと、タイトルが的を得ていて素晴らしいと思いました。
第2位.宮部みゆき「火車」
宮部みゆき「火車」がおすすめの理由
宮部みゆきさんの作品の中でも人気が高い一冊です。主人公である刑事の本間俊介は、親戚で休職中の栗坂和也に婚約者を探して欲しいと頼まれます。婚約者は関根彰子という名前で、和也に自己破産をしていることが発覚した日から姿を消していました。そこで本間は彰子について調べてみることにしました。すると、意外な事実がわかってきます。和也の婚約者である彰子は別人である可能性が出てきたのです。実は、彰子は偽物で本当は喬子という名前の女性でした。(本物の彰子が自己破産していて、喬子はそれを知らなかった。)喬子が成りすましをしてまで別人になりたかった理由は、「お金」のせいでした。親の借金が理由で売春を強要された過去を持ち、天涯孤独の同年代の女性を狙っていたのです…。犯人(ただし最後まで殺害のシーンはなく、全て本間の推測)である以前に、喬子自身も被害者と呼べなくもない悲しい生い立ちが切ないです。お金の為に、人生が狂い、人の名前まで奪おうとする…。喬子は和也から去り、彰子に成り代わるのを諦めます。そして、次のターゲットを選び、近寄ります。そこには本間もいることを知らずに。そして、本間は喬子の肩に手をかけるのです。小説はここで終わります。個人的には捕まえてちゃんと話しを聞きたいなと思いましたが、読後感はよく、名作であることは疑いようがない作品です。
第1位.宮部みゆき「模倣犯」
宮部みゆき「模倣犯」がおすすめの理由
とても分厚い本ですが、読み始めると驚くほどサクサク進み、読み終わった後は怒りが一番残りました。主人公はライターの滋子。連続女性誘拐事件が発生し、滋子はライターとして事件を追っていくことになります。事件の犯人はピース(網川浩一)とヒロミ(栗橋浩美)という同級生同士です。ピースが主犯で、ヒロミはピースの金魚の糞といったところです。二人の同級生にさらにもう一人、キーマンとなるのがカズ(高井和明)です。カズはヒロミの幼馴染であり、ヒロミがピースとつるみよくない方向に向かっていることに気づいて心配しています。カズの行動により、事件は発覚の道へと進んでいくのです。この小説の悪はピースだけと言ってもいいでしょう。自分の頭の良さを盲信し、批判する人間を徹底的に攻撃する。独創的なストーリーを描くために無関係の女性を誘拐し、殺害する。そんな幼稚さを持ったピースに滋子はあるアクションをとります。「模倣犯」に過ぎないとテレビで挑発したのです。ピースは自分が「特別」だと信じています。だから、誰かの真似をする模倣犯という言葉は到底受け入れられなかったのです。こうして、犯人は捕まりました。でも、亡くなった人は帰ってきません。殺された理由もあまりに身勝手です。巻き込まれた形となったヒロミ(ヒロミは犯人なので、仕方ありませんが、そこにいたる背景が悲劇的です。)、犯人の汚名をきさせられたまま事故死してしまうカズ…。そして、ピースに騙され自殺することにまでなるカズの妹・由美子。なぜ、こんなことにならなくてはいけないのか?夢中になって読める反面、とても悔しい気持ちになる一冊です。
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