柚木麻子おすすめ作品ランキングTOP7

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柚木麻子おすすめ作品ランキングTOP7

私が柚木麻子さんが好きな理由は、作品に登場する人物の感情の動きが鮮やかに描かれているからです。特に、女性同士の浮き沈みのある関係をきれいに描いていると思う。女性同士の妬み嫉み、仲が良い時の不思議な連帯感、どれをとっても的確に表現していて読むと共感します。柚木麻子さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第7位.柚木麻子「ねじまき片想い」

柚木麻子「ねじまき片想い」がおすすめの理由

この小説は、おもちゃが好きな人、大人になっても遊び心を忘れたくない人におすすめです。主人公の女性は、おもちゃプランナーで商品開発部のエースとしてヒット作をだしています。そんな彼女が長年片思いしているのは、開発した商品のサンプルを作るデザイナーの男性。ただ、そこは乙女心でなかなか彼に表立って好意をアピールすることができません。そんな時、彼の部屋の窓から見えたはずの東京スカイツリーが見えなくなったと、彼女は耳にします。確かに、いままで見えていたはずのスカイツリーは向かいのマンションの屋上に突如現れたタンクによって隠れてしまいました。今こそ、彼を助ける時だと奮起した主人公はリサーチを始めます。このように、彼のために彼女はいつも行動を起こし、自ら開発したおもちゃで華麗に解決します。ですが、なぜ彼女はその情熱をおもちゃの開発や事件の解決に向けて、愛しの彼自身に向けないのでしょう。彼女は、片思いの果てにどのような結論に達するのでしょうか。

 

 

第6位.柚木麻子「奥様はクレイジーフルーツ」

柚木麻子「奥様はクレイジーフルーツ」がおすすめの理由

本作の主人公は、夫との性生活に悩む一人の女性。私は、まだ結婚していないのでセックスレスの事情や原因はよくわかりません。そして、この本を読んでさらによくわからなくなりました。なぜなら、主人公の女性に問題があるようには思えないからです。フリーランスの仕事で活躍し、女性らしい格好で、自分磨きも入念、スタイルだって悪くない。そんな彼女を旦那さんは、「今は仕事が忙しい」、「そんな気持ちにはなれない」、「絶対次は」という曖昧な言葉で回避します。このような夫婦の問題は、一言で言えばどうしようもありません。しかし、この作品から一つだけ望みが出てきました。それは、夫婦二人でこの問題について向き合うことです。それが必ずしもこの問題に直面した方の助けになるとは断言できませんが、一縷の光にはなるのではないかと思います。男女関係にすれ違いを感じた時、この作品にそっと手を伸ばしてみてください。

 

 

第5位.柚木麻子「終点のあの子」

柚木麻子「終点のあの子」がおすすめの理由

女子高校生というのはなぜこんなにも複雑なのだろう。世間的には、若くていっぱい遊んでてキラキラしているイメージをもたれるけど、それはきっとそういう娘もいますということだと、私は思う。女子高生がみんなそんな感じだと思ったら、大間違い。本当は友だち関係に、クラスの相関関係に、様々なことに悩んでいる。友だちと上手くいかなかったり、友だちに彼氏ができて嫉妬したり、女子高生は高校という小さな社会の中で必死に生きている。彼女たちは女子高生という一つの枠に一緒くたにされるほど簡単な存在ではない。地味な娘もいれば、派手な娘もいて、オタクだっている。私は、この本を読んでそれをもっと様々な人に理解してほしいと考える。高校生がこの本を読むならきっと共感できて、大人が読むなら新鮮な気持ちで読めるだろう。この作品が様々な人に読まれることを祈る。

 

 

第4位.柚木麻子「さらさら流る」

柚木麻子「さらさら流る」がおすすめの理由

リベンジポルノ、報道番組やネットでしか知らない言葉だった。本作を読むことでいかに世間の女性が泣き寝入りしているかを知ることになる。主人公は、たまたま見かけたサイトで自分の裸の写真が流出していたことを知る。それはかつて大学時代に付き合っていた彼氏に撮られた写真で、消したはずのものだった。そこから、彼女の戦いが始まる。戦いなんておおげさな、と考えるかもしれないが、けっして大げさではないと私は考える。いつだれが目にするかわからないネット社会で、無防備にさらされた自分の裸。実は知り合いが、上司が、同僚が、家族が目にしたかもしれない。主人公は、人間不信になるぐらい恐怖のどん底に突き落とされるのだ。同じ状況になった時、私はそれを乗り越えることができるだろうか。すべてを失ったあとの再生、心から信じられる人を大切にしたくなる物語。

 

 

第3位.柚木麻子「あまからカルテット」

柚木麻子「あまからカルテット」がおすすめの理由

女性同士の友情は成立しない?しばしば女同士はドロドロしていると聞くものですが、本書を読むと少し違うなという気持ちになります。この作品は、高校時代からの仲良し4人組の女性たちが協力してお互いの悩み、問題、困難を解決するお話。この話で注目したいのは、この4人それぞれの多種多様な悩みとそれを自分のことのように感じて解決法を探す友だちの友情です。境遇、職業、家庭環境、趣味、すべてが4人の間で違いがあり、この4人は何で繋がっているのだろうと不思議に思うかもしれません。それは、先ほど述べたように、4人のうちの誰かがもってくる悩みを全員が自分の悩みのように考えて行動する優しさです。ひと夏の恋に落ちた男性を探したい、彼氏が自分に隠していることを知りたい、仕事も家事も完璧にこなしたい、どんな困難がやってこようとこのカルテットがいれば大丈夫。女性の友情は成立しないと思う人にこそ読んでほしい一冊。

 

 

第2位.柚木麻子「嘆きの美女」

柚木麻子「嘆きの美女」がおすすめの理由

あなたの考える美人とはどんな人ですか?背が高い、手足が細い、目が大きい、唇がセクシー、目鼻立ちが整っている、そんなスーパーモデルな人ほど美人と世間からもてはやされるかもしれません。私のようなそこまで可愛いわけでもない凡人から見れば、羨ましいかぎりです。美人と凡人は所詮生まれもったものが違うな、とへこむ時もあります。けれど、この本を読んだ後ならば、誰しも悩みはもつものだと考えることができます。本作の主人公は、美人を妬むニートで太った女性。彼女もまた美人は、自分よりも幸せで悩みが全くなくて羨ましい存在だと嫉妬しています。しかし、ひょんなことから美人の同級生とモデル並みに美しい見た目の同居人と一緒に住むことになり、彼女の考えは次第に変わっていきます。美しい人にはその人なりの、凡人には凡人の、それぞれの苦労があることを実感するお話。

 

 

第1位.柚木麻子「私にふさわしいホテル」

柚木麻子「私にふさわしいホテル」がおすすめの理由

作家デビューをタレント作家に邪魔され、大御所作家からも目をつけられ、期待の新人作家がでてきたら担当の編集者に見放される、かつてここまで不運な主人公はいただろうか。本書の主人公は、出版界の神様に嫌われているのではないかと思うぐらい運に見放されている。しかし、そこで終わらないのがこの作品の醍醐味。主人公は、持ち前のバイタリティーと出版界で成功することへの貪欲さを武器に出版界に立ち向かっていく。作家デビューをやり直すために全くの別人に変身したり、大御所作家の原稿を間に合わせないためにホテルの従業員に化けて妨害したり、担当の編集に復讐しようとしたり、やることなすことすべてがパワフル。そんな彼女を見ていると、なんでもすぐに諦めてしまう自分の生き方を考えさせられる。誰にも負けたくない、あきらめたくない、とにかく何かに打ち込みたい、そんな力強い本を読みたくなったら、この本。

 

 

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