藤崎竜おすすめの漫画ランキング

entry

藤崎竜おすすめの漫画ランキング

藤崎竜は絵がうまいのにあえて特徴的な画風にしているように思います。一目で作者のわかる絵を描いているところがすごいです。何よりストーリーが独特の世界観を持っていて、ギャグっぽい話であっても、どこか皮肉が効いていて哲学的になっているところがいいです。藤崎竜さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。

 

 

第5位.藤崎竜「かくりよものがたり」

藤崎竜「かくりよものがたり」がおすすめの理由

私は読み切りの「アメとサルタヒコ」が面白かったので連載化して嬉しかったのですが。なぜ、打ち切りになってしまったのか、惜しい作品です。哲学的、かつ独特の風合いが強すぎて一般受けせず打ち切られてしまうという展開が藤崎作品にはありがちなのですが、掲載誌を間違えているのかもしれないですね。好きな人は好きだと思います。主人公のサルタヒコは幼馴染のアメを守るために怨霊と戦う少年です。激しい戦いのため、サルタヒコの体は大半がカラクリとなっています。そこまでして守る幼馴染はいったい何者なのか、幼馴染のアメは「お力」を継承するカミツヨミドの姫巫女で、祈りによって人を救うことができます。この物語は「お力」とそれを継承する姫の存在を巡る戦いが中心となっているのですが、日本神話や関係深い歴史上の人物が、霊や怨霊となって登場するところも見所です。設定も面白いし、歴史ものと言ってもSFちっくかつ絵も細密で、いかにも藤崎作品といったところ。一応、第一幕終了という形での終わりなので、今後第二幕以降が描かれることを願っています。そのためにもぜひ、おすすめしたいです。

 

 

第4位.藤崎竜「サクラテツ対話篇」

藤崎竜「サクラテツ対話篇」がおすすめの理由

キャラクターが全員哲学者の名前をもじって付けられている、シュールなギャグマンガです。都内の一等地、宛内(アテナイ)の一軒家「桜家」の建つ土地を巡って、未来人や宇宙人、地底人といった侵略者と住人が戦う話です。そこに住む少年・桜テツ(ソクラテス)は、高額な固定資産税を払うために幼稚園の時からずっとアルバイトを続ける金の亡者です。しかもバイトで鍛えられた彼の能力は超人的で、人外の侵略者たちと渡り合える実力を持っています。そんな彼に大富豪の娘・出井富良兎(プラトン)は興味を抱き、観察日記を付けています。ここでまず、プラトンの著作のほとんどが、師のソクラテスとの
対話集であったことが思い出されます。悪魔のニーチェや宇宙人のファイヤアーベントなど、哲学者の名前をそのまま使っていることもありますが、未来人のアリスはアリストテレス、地底人のジークムントはフロイト、という風にキャラクターの設定や思想から元ネタを考察するのも楽しいです。個人的にはニーチェのペット、魔界ラッコのゾロアスターがお気に入りで、ニーチェの著書である「ツァラトゥストラはかく語りき」(ツァラトゥストラはゾロアスターのドイツ語読み)からとっているのに、多重人格のラッコというのがすごくツボでした。

 

 

第3位.藤崎竜「PSYCHO+」

藤崎竜「PSYCHO+」がおすすめの理由

主人公の綿貫緑丸は、生まれつき髪の毛と目の色が緑色であるという、現実ではちょっとあり得ないような設定です。もちろん漫画内でもその容姿は特異で、周囲と距離を置いて学生生活を送っています。趣味はゲームでかなりの強者ゲーマーであり、友人もゲーマーです。このゲーマー設定から、主人公の運命を変える人物である水の森雪乃や、ゲーム「PSYCHO+(サイコプラス)」と出会います。雪乃は凄腕ゲーマーで「電脳少女(コンピュータ・ガール)」の異名を持つ美少女です。ゲームで勝負して勝った相手としか付き合わないというところや、緑丸の特異な容姿に偏見を持つことなく、普通に友人として接するちょっと変わった女の子です。お約束のように緑丸は雪乃に惹かれ、彼女が恋人選びにゲームを使うことを止めさせるために彼女に勝負を挑みます。その時に使ったのが、緑丸が中古ゲームショップで手に入れた「PSYCHO+」です。それは緑丸にしか操作できず、しかもゲームで操作したことが現実に影響を及ぼすという不思議なゲームでした。実はこのゲームは超能力者育成用のソフトだったのです。クリアを重ねていくうちに、緑丸は自分が世界に12人しかいない、超能力を持った「緑色人」であることが判明します。残念ながら打ち切りとなった短い作品ですが、私は絵柄、特殊な設定、キャラクターの作り方、どれも独特で面白いと思います。

 

 

第2位.藤崎竜「Wāqwāq」

藤崎竜「Wāqwāq」がおすすめの理由

砂漠が一面に広がる世界「ワークワーク」には「黒い血の人間」と呼ばれる人々が住んでいます。しかし黒い血の人間を抹殺するために「機械」と呼ばれる敵が徘徊しており、黒い血の人間の中から「護神像」に選ばれたものが「防人」という戦士となって住人達を守っていました。私はこの漫画の世界観、特に「護神像」の設定が好きで、この漫画をおすすめしています。「護神像」とは黒い血の人間と分子的に融合する力を持った古代文明の遺産で、ゾロアスター教の大天使の名が使われています。全部で7基存在し、それぞれが戦うこともできますし、その能力を「防人」と合体して貸し与えることもできます。「護神像」は自我を持っており、自ら願いを持った人間を「防人」に選ぶこともできます。物語は少女・松田が、「いつかワークワークに現れ、黒い血の人間を救う」という伝説にある「赤い血の神」としてワークワークに突如連れて来られたところから始まります。「赤い血の神」を巡って「防人」たちの争いが始まるという、シビアなお話です。自分の願いを叶えるために「防人」同士で戦ったり、生き残った者が願いを叶えることができたり、設定は全然違いますが、仮面ライダー龍騎の系統のお話で、好きな人には刺さると思います。

 

 

第1位.藤崎竜「封神演義」

藤崎竜「封神演義」がおすすめの理由

藤崎竜と言えばこの作品を挙げる人が多いのではないでしょうか。アニメ化もされグッズやゲームなど様々に展開された人気作品です。原作は中国、明代の小説である「封神演義」の安能務氏の日本語訳版(講談社)で、中国古代王朝である殷から周へと王朝が交代した、いわゆる「殷周易姓革命」を舞台に妖怪と神仙が入り乱れて戦う物語です。中国古典のコミカライズというよりは、それをベースにしたSF色の強い作品で、神仙たちの衣装や「宝貝」と呼ばれる武器のデザインも、どこかメカニックで独特な形状となっています。物語も易姓革命を主としつつも、原作にはない神仙たちと、それ以上に大きな存在との戦いに発展していきます。主人公の太公望をはじめとして、神仙、特に仙人になる前の段階である道士たちは青年の姿で描かれ、しかも登場キャラクターが非常に多いことも人気のひとつではないでしょうか。ストーリーには藤崎作品に共通する、哲学的な時間の概念が根底にあり、かなり考えさせられるものだと思うのですが、キャラクターの良さ、話の展開、テンポの良さは藤崎作品の中でも群を抜いていると思います。

 

 

コメント