池井戸潤おすすめ作品ランキングTOP7
全ての作品に面白みがあります。池井戸潤さんの作品といえばドラマ化が多くあり、私もドラマから小説に入りました。池井戸潤の名前は知らなくてもドラマの名前を聞けば知っている人も多いと思います。映像化されている作品の代表であれば、半沢直樹を始め、陸王、2018年に続編がドラマ化された下町ロケット、花咲舞が黙ってない、嵐の相葉雅紀さん主演、ようこそ、わが家へなど、上げるとキリがありません。その他にも2018年に映画化された空飛ぶタイヤ、2019年に同じく映画化された七つの会議、有料番組のWOWOWで連続ドラマ化された向井理さん、斎藤工さんがW主演のアキラとあきら、テレビ朝日で2夜連続放送ドラマの遠藤憲一さん、菅田将暉さんW主演の民王など、私の選んだ7作品以外にも多くの著書があります。元銀行員である池井戸潤さんの作品には、必ずと言っていいほど銀行などのお金の問題が絡み、それが面白みをます要素となっています。ランキングでは映像化されていない作品やあまり知られていないコアな作品、初期の作品も入れていますので、興味のある作品を読んでみて下さい。池井戸潤さんのおすすめの作品をランキング形式でご紹介します。
第7位.池井戸潤「シャイロックの子供たち」
池井戸潤「シャイロックの子供たち」がおすすめの理由
この作品は、著者である池井戸潤の初期の作品です。最新作の下町ロケット、ヤタガラスを入れずにこちらを選びました。物語はある銀行に勤める1人の男性から始まります。その男性はメガバンの一支店の社員であり、ドラマの半沢直樹を見られた方は、主人公の半沢をイメージするかもしれません。この男性が主人公なのか?と思い読み進めると、その男性は半沢のような正義感もなく、どちらかと言えば自分中心の普通の男性です。その後、一章でその男性の話は終わってしまいます。二章からは、その男性の働くメガバンクの女性社員や支店長の日常的な苦悩や葛藤が描かれていき、最終的にその話が絡み合ってきます。物語の中で、大きな部分を上げると、現金紛失事件が起きるということです。一人一人の日常から一転、ミステリーの要素も入ってきます。ドラマで描かれるような、正義と悪の関係がはっきりしていて、主人公が逆境からの大逆転を決めるということはない作品ですが、池井戸潤の作品の始まりであるような作品ということで面白さ以上に、ファンの一人として読んでもらいたい作品です。他に上げる6作品を、読み終えた後に読んで頂くと面白みが増すと思います。結末としてはハッピーエンドというより、読み手が考える内容になっています。
第6位.池井戸潤「MIST」
池井戸潤「MIST」がおすすめの理由
一言で言えば池井戸潤の作品ではないような作品です。冒頭はお金の絡みが出てくるので、多少、池井戸潤作品のように感じますが、後半は完全にミステリー作品となり、東野圭吾の作品のようです。中部地方の山奥で起きる連続殺人に様々な人の日常や苦悩を絡めて描かれています。トップ7に上げた理由としては、池井戸潤作品ではない印象を受けながらも面白いということがあったからです。人間関係の難しさを描くこと以上に殺人事件が多く、最後まで犯人が誰か分かりません。タイトルにあるMISTというのは、この物語が描かれる数年前に流行した自殺サイトによる事件のサイト名がMISTであり、その犯人が再び動き出したのではないか、という話から取られていると思います。個人的には面白い作品でしたが、池井戸潤の初期の作品ということで経済に話を絡めてくる池井戸潤好きには辛口評価ぎ多い作品となっています。ただ、推理小説好きの方は池井戸潤に入りやすい作品であると思うので入れさせてもらいました。
第5位.池井戸潤「アキラとあきら」
池井戸潤「アキラとあきら」がおすすめの理由
タイトルの通り2人のあきらが登場する作品です。単純なタイトルと異なり、中身は大変面白いものとなっています。田舎の工場を経営している社長の息子である山崎瑛が、会社の倒産とともに親戚の家に移り住むというところから始まります。ももと小さな工場だった瑛の実家は、細々と暮らしていました。さらに追い討ちをかけるように会社が倒産、借金取りに追われて家を失います。幼少期はその苦悩や現実と向き合う瑛の姿が描かれています。その一方、海堂彬は大企業の社長の長男で、一般社会とは違い、かなり豪華な生活をおくっています。祖父の会社を継いだ長男である海堂彬の父。ただ、2人の弟とはあまり上手くいっておらず、剛腕の祖父の3人の息子の仲違いによる、大企業ならではの人間関係の難しさを見ながら彬は育っていきます。2人の人生が始めて交わるのは大学生の時。どちらも東京大学に進学し、4年生の就活の時期でした。1人の東大OBが母校を訪ねてやってきます。その男は銀行員で、在学中在籍していたゼミの教授に、優秀な人材を紹介してもらおうと母校を訪ねてきたのでした。その教授は「1人、間違いなく歴代で最高の人材がいる」とだけ伝え、銀行員に資料を渡します。その資料を見て、成績トップであった海堂彬に目をつけた銀行員は大企業の跡取りである海堂彬を口説き、メガバンクへの勧誘に成功。父親と叔父の争いに半ば嫌気がさしていたこともあり、会社の跡取りを弟に譲り、彬は実家の会社を担当するメガバンクに入社します。ところが、教授の言う最高の人材とは海堂彬ではなく山崎瑛のことでした。これに気づいた銀行員は山崎瑛に声をかけ、2人は同じメガバンクで働くことになります。ここからは時にライバル、そして友として2人の人生が関わり合って逆転やまさかの展開の連続ですぐに読み進めることができます。
第4位.池井戸潤「民王」
池井戸潤「民王」がおすすめの理由
非常にコメディ要素が強い作品です。話の中心人物の1人は。日本の総理大臣である武藤泰山。政治の中心で生きる泰山は、いかにも良くない政治家で、イメージアップや支持率にこだわり、国民のことを二の次に考えるような政治家です。その息子である武藤翔も甘やかされて育ち、夜な夜な遊び回るドラ息子。親のコネで生きているような人物に描かれています。その2人の中身が入れ替わるというあり得ないところから始まるのがコメディ要素の強い作品になっています。全く政治に興味がなく、頭の悪い息子の翔が、国会に出席しなければならず、周りの悪戦苦闘が面白おかしく描かれています。特に総理の秘書である貝原と泰山と長年苦楽を共にした内閣官房長官の狩屋の2人は入れ替わった翔を必死に支えます。この狩屋は女好きで、泰山と翔が入れ替わったことを伝えた際に、翔の体に入った泰山から浮気相手の名前を言われて、入れ替わったことを信じました。個人的に一番好きなシーンは、狩屋の浮気が発覚し、メデイアにとりあげられる事件が起こった時です。現実にもありますが、現職の政治家の女性問題ということで当然、世間からのバッシングもあります。同時に野党側にも女性関係で問題が起きており、与野党の両党とも問題を抱えている時期でした。そんな中、総理である泰山に任命責任ということで、内閣官房長官を辞任するのかとメデイアが詰め寄ったシーンがありました。泰山自身は党のために仕方がないと、狩屋に伝えていましたが、泰山の中にいる翔はメデイアに「狩屋は辞任にしない。小さい頃から知っているが狩屋はいいやつだ。女性問題かなにか知らないが、おれには狩屋が必要だ」と言い切ります。メデイアからは、では野党側の女性問題はどうなのか?同然批判するでしょう?と訪ねられますが、「あー、あいつも小さい時から知っているがいいやつだよ」とだけ言い残してその場を後にします。こういった損得勘定で考えるのではなく周りを気にせず、本質を口にする翔の姿に泰山も政治を目指した時の志を思い出して行くというストーリーです。人の人格が入れ替わる種明かしもありますが、その辺りは当然のように無茶になっているので、そこまでこだわる必要はありません。かなり面白い作品になっています。
第3位.池井戸潤「陸王」
池井戸潤「陸王」がおすすめの理由
誰もが知っているドラマ化された作品です。実は私自身が大学まで陸上をしており、某大学で駅伝をしていました。学生の時には箱根駅伝での優勝も経験しています。そんなこともあって、クオリティの低さが目立つのではないかと思い、ドラマ化されても見ることはありませんでした。ただ、陸上関係者からも評価が高く、好きな池井戸潤さんの作品ということで本は読むことにしました。物語の中心は下町の足袋を作っているこはぜ屋という会社です。足袋一本ではこの先の業績が危ないのではないか?ということで、陸上競技のマラソンシューズの販売に踏み切ります。もちろん池井戸潤作品ということで、ここでも銀行とのやりとりが出てきます。マラソンシューズを作る中で、ライバルとなる大手スポーツメーカーと戦いながら作品が進んで行きます。陸上要素があるのは、ドラマでは竹内涼真さんが演じた茂木裕人という実業団ランナーが関わってきます。茂木は大学時代はエリートランナーでしたが、社会人になり伸び悩んでいました。大手スポーツメーカーは記録が伸びないと選手を見放しますが、こはぜ屋は記録に関係なく選手を支え、それが最後には花開くようなストーリーになっています。(実際にメーカーからのサポートが簡単に打ち切られるようなことはありませんので現実とは思わないで下さい。)大手スポーツメーカーに押されて、業績が傾く中大逆転をする物語は爽快です。
第2位.池井戸潤「下町ロケット2ガウディ計画」
池井戸潤「下町ロケット2ガウディ計画」がおすすめの理由
こちらも誰もが知っている下町ロケットの2作目です。現在は下町ロケット→ガウディ計画→ゴースト→ヤタガラスと続いていますが、間違いなくこのガウディ計画が一番感動します。一作目は、下町の中小企業、佃製作所がロケットエンジンの要であるバルブシステムを作り、大企業とのやりとりの中で、ロケットの打ち上げにたずさわるという物語でした。このガウディ計画では、ロケットから医療へと方向が変わります。一作目で工場の社員であり、喧嘩別れして辞めた真野が登場し、児童用の人工弁の開発を手伝ってくれないか、という提案を受けます。ここでのライバルとしては、ロケットのバルブシステムの採用を巡って争う狭山製作所と医療界の大物である貴船教授になります。自分の利益のために人工弁、ガウディを潰してしまおうという貴船教授の嫌がらせに心折れそうになる佃製作所の社員ですが、人工弁、ガウディを心待ちにしている子どもたちを見て奮起します。個人的にはこの場面が一番感動します。誰のために、何のために仕事をしているのか、ガウディを作っているのかということを思い出そうという描写は、働く人にとっては心打たれる場面だと思います。何かを必死にやっている人は感動すること間違いなしです。四作品全て面白いですが、特にオススメなのがこのガウディ計画なので、一、二作目だけでも読むべきだと思います。
第1位.池井戸潤「ロスジェネの逆襲」
池井戸潤「ロスジェネの逆襲」がおすすめの理由
池井戸潤作品の中で一番心打たれた作品です。実は、2013年の流行語大賞にも選ばれた「倍返しだ」のセリフでお馴染みのドラマ半沢直樹の続編になります。ドラマの半沢直樹はオレたちバブル入行組→オレたち花のバブル組の二作の話になっています。ドラマを見られた方は分かると思いますが、大和田常務との戦いを終えた半沢は頭取から出向を命じられます。正義を貫き、勝利したことで大出世すると思われた半沢がまさかの出向?ということで衝撃の結末に驚いた方も多かったのではないでしょうか。そこまでの物語を知っていれば、是非この作品を読んでもらいたいです。一つ注意してもらいたいのが、ドラマの半沢直樹と違い、小説の半沢直樹は絶対的な正義ではありません。どちらかというと執念深く、自己中心的なところも描かれています。ただ、ドラマよりも好感が持てるのが出世にこだわっていないということです。三作目では出向先の東京セントラル証券での物語が中心になります。企業同士の買収を中心に人間関係が描かれており、半沢が勤めていた東京中央銀行も登場します。東京中央銀行の子会社である東京セントラル証券にいながら、倍返しの精神は強く、親会社にも噛み付く半沢らしさが出ており、出向から戻る事より仁義を通す事にこだわるかっこよさもあります。タイトルにあるロスジェネというのは、ロストジェネレーションは世代を表す言葉で就職氷河期に就職した世代を表しています。半沢たちバブル組とは違い、就職に苦労した世代の代表として、東京セントラル証券で半沢の部下である森山とともに、逆襲をするという物語になっています。個人的に一番好きなシーンは、全ての戦いを終えた後に森山と2人で飲みながら話すシーンです。全ての社会人に読んでほしい文章で、長いセリフになりますが感動するので読んでみて下さい。最終的には半沢は出向から銀行に戻ります。これは、自分の立場をかえりみない働き方をした結果で、かっこよく描かれています。ドラマを見られた方は分かると思いますが、出向は、片道切符の島流し、と呼ばれ帰ってくることはできないと言われています。それを覆すところも半沢らしくなっています。
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